四角い

四角い(掌編)

ある日、窓から外を眺めていると、

四角い

と思った。

何がどのように四角いのか、頭の中で答え合わせをする。
立ち並ぶビル、人、車、横断歩道。

人が生み出すものの多くを、私は「四角い」と感じているらしい。

四角いことは悪くない。
むしろ、すっきりと収まりのいい形だ。
だから自然に、そうなってきたのだろう。

それでも、どこかに違和感が残った。

昔の人が思い描いた未来には、四角だけではない何かがあった気がする。
その中に、丸みを帯びた線があった。
人はずっと、未来のどこかに曲線を置いていたのかもしれない。

相変わらず、窓の外は四角い。
そう思いながら視線を少しずらすと、窓ガラスに乾いた水滴の跡が見えた。

丸い

と思った。

その跡を目で追っていくうちに、視線は上へ抜け、窓の外の空へ届く。
空には四角がない。
雲も、光も、遠くの輪郭も、みな丸みを帯びていた。

自然は曲線でできているのかもしれない。

自然を意識したとたん、そこに曲線が入り込んでくる。
窓ガラスに反射する私の輪郭も、太い細いはあっても、どこかやわらかい線をしている。

では、ここでは見えない頭の中、思考には、どんな形があるのだろう。

四角い思考は、たしかにきれいに収まる。
けれど、窓の外の風景のように、いつか違和感を生むのかもしれない。

その違和感は、建物だけではなく、思考の中にも曲線が必要だと知らせているのではないだろうか。

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